私には十年間告白し続けた人がいた。
中学二年生、十四歳の時から十年間。
私が好きを渡す相手は君しかいない。
そう思ってしまったのだから仕方なかった。
初めての告白は放課後の教室だった。
緊張で死ねるかもしれないと思ったのははじめてだった。
夕日の中で君の顔も赤かった気がした。
二度目は中学の卒業式。
同級生だった君と、もう顔も合わせられないかもしれないと思ったら、口からこぼれた。
君の涙が引っ込んだのを覚えてる。
三度目は大学生になってすぐ。
サークルの交流会で再会した。嬉しくて嬉しくて、慣れないお酒の力を借りてしまった。
二人きりの夜道で君は呆れて笑ったね。
四度目は成人式。
周りに「ストーカーになっちゃうぞ」って言われてたから君に近づかないようにしてたのに、君は当たり前のように私を呼んだ。
何度もふった君、何度もふられた私。
気まづい関係のはずなのに、いつだって二人で話す時は空気がパッと明るくなる。
「ストーカーに自分から声をかけるなんて変わってるね」
私が言うと君は驚いたように「ストーカーなんて思ったことない」と目を丸くした。
その目に吸い込まれてまた告白をしてしまった。
君は私にいつだって「ごめんね」と言うだけだったのにその日は違うことを言った。
"こんな自分に付き合わせられないよ"
ごめんねの理由がわかった気がした。
それから四年、私は君に告白以外のたくさんの話をした。ごめんね以外のたくさんの話を聞いた。
そうして時を重ねていった。
今日、あの夕日から十年がたった。
私は懲りずに告白をしようとしている。
君の心に響くように、君の頑なな心を溶かせるように。
いつかの告白に被らぬように、そっと今までを思い返した。
『す、好きです!付き合ってください!!』
『やっぱり、好きです。付き合ってください』
『あのさ、まだ好きなんだよね。付き合おうよ』
『はは…好きだなぁ…付き合って…くれないよね?』
思い返して語彙力の無さに少し笑えてくる。
でも大丈夫。きっと届く。
「ねぇ、あれから十年たったんだけどさ…」
★タイトル『刹那を重ねた』 ★朗読時間:約4.5分 ★ひとこと:
企画で提出したもので演技力を発揮するためにラストの台詞四段階をメインで考えました。楽しんで読んでもらえたら嬉しいです。このヒロインちゃんの作り方は本当に十人十色で作れると思います。もし良ければSpoonで検索していろんなヒロインちゃんを聞いてみてください(´˘`*)
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