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roco
2023年8月2日読了時間: 2分
走馬灯はまだ消えない
初めて死体を見たのは18歳の時、恐ろしいよりも美しいと感じた。 次の瞬間考えていたのは『この死体は何処へ行くのだろう?』という事だった。 父の身体だったそれは、当たり前だがぴくりとも動かず、そこにただじっとしていた。 もうこの身体はどこにもいけない。...
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roco
2021年7月13日読了時間: 1分
イルネスワード
物語を紡ぐことができるあなたは、 無知な私の語彙力をよく可愛がる。 かわいい。 おもしろい。 すごい。 やばい。 すき。 感じたままの言葉を口から出せば、 クスクスとあなたが笑う。 馬鹿にされているように感じるけれど、 そうではないよと、あなたは微笑む。...
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roco
2021年2月5日読了時間: 3分
浮けども、浮けども、
嫌なことがある。 「やめろって!早まるな!」 「…なに、そのありがちな台詞」 そりゃ、一生懸命生きていれば嫌な事のひとつやふたつ、うまれるのは当たり前だと思う。 それに耐えたり、解決したり、ぶっ壊したり、見ないふりをしたり、なんかとにかくやり過ごすのが人生だ。...
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roco
2020年10月31日読了時間: 13分
そうして彼は、仮面をつけて笑うでしょう。
『兄ちゃん、早いよ!暗いんだから、置いていかないでよっ』 『早く来いよ!あーまた泣いたぁ…』 『だって、だってぇ』 『お前は本当怖がりだなぁ…男だろ?男なら泣くな!俺みたいに強くなれ!』 あぁ、また、この夢か。 視界がくるりと反転する。...
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roco
2020年10月7日読了時間: 5分
悪夢十夜 第一夜
第一夜 こんな夢をみた。 「まぁ、とりあえずやってみようよ」 そう言って母は今日の現場に入っていく。 私と母と妹の3人は昔から幽霊が見えた。 それをいかして、今は親子3人で霊媒師の仕事をしている。 しかし、私達3人には霊媒師として大きな欠点がある。...
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roco
2020年9月25日読了時間: 5分
幽霊になった夏
両親から宿題は終わったのかと聞かれ始めた。 もう8月も残り少ないことを実感する。 宿題は夜中にコツコツやって終わらせてある。 自由に家を出て彼女に会える昼間をそんなものに費やしたくなかった。 その日も朝ごはんを食べてすぐ廃工場に向かった。...
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roco
2020年9月17日読了時間: 4分
幽霊になった夏
俺は今まで生きてきて彼女が一番に綺麗だと思った。 彼女は夏の幽霊だった。 彼女の中では、花火が咲き、波がよせて、風鈴が鳴る。 これは夏を必死に追いかけた俺の恋の話だ。 彼女と出会ったのは町はずれの廃工場だった。 噂は一日で広がるような狭いこの町で俺が唯一自由にいられる場所。...
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roco
2020年9月1日読了時間: 4分
あくまで個人的な愛
『あなたの、遠慮した小さい笑顔』 『あなたの、すらっとした後ろ姿』 『あなたの、ふわふわな髪』 『あなたの、少し赤い頬』 『あなたの、まっくろな瞳』 『あなたの、まぬけな寝顔』 『あなたの、爽やかな香り』 『あなたの、色が薄いくちびる』 『あなたの、』 「なにこれ」...
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roco
2020年8月15日読了時間: 5分
まだ、ここ
「ねぇ、美嘉って『マダココ』やってたっけ?」 隣でいかにも女子高生という具合に短く折られたスカートをひるがえしながら友人が私に問いかけた。 「やってるよー」 『マダココ』とは、最近女子高生を中心に流行っているコミュニケーションアプリだ。...
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roco
2020年8月15日読了時間: 4分
いき。
引越しの準備をするために、普段触らない棚をあけてみた。 すると、手紙が一通、落ちてきた。 封は、開いていない。 宛先は、私だ。 裏には、昔呼んでいた懐かしいニックネームが書かれている。 引越しにおいて断捨離というものは必要不可欠だと私は思っている。...
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roco
2020年8月3日読了時間: 7分
ディストーション
※暗いお話注意です。 知っていますか? 日本は自殺大国と呼ばれていることを。 知っていますか? 今日本の自殺者は三万人以上にのぼることを。 その人数はあの大震災で死んだ人数よりはるかに多いということを。 知りたいですか? 貴方がいまその三万人の一人になろうとしていることを。...
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roco
2020年8月1日読了時間: 2分
気持ちはきっと前を向いてるけどそれだけじゃどうにもならないことを痛感した、高3の夏、あの蝉の声
遠くで、連日うるさい蝉がいっそううるさくなる気がした。 それはきっと、あれだけ騒いでいた私たちが一瞬にして静かになったからだろう。 高校二年生の夏休みだった。 一年生の頃のような高校生はじめての夏という緊張もない、三年生のような受験への不安もない、気楽な夏だった。...
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roco
2020年8月1日読了時間: 2分
柵の歌。
柵の歌。 カン、カン、カン、 あ。今日もだ。 カン、カン、カン、カン、カン、 毎晚、夜七時前。 住宅街のあちこちから夜ご飯のにおいがしてくるこの時間。 ご飯だよ、なんて声が聞こえてきそうなこの空気を実際に震わしているのは、 カン、カン、カン、 いつも、あの音だ。 カン、...
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