『壮大な夢の出処について』
夢、というと、なにか特別な、平均的にすごいと思われるような、壮大な、高飛車な、そういうものを指すような気がしてしまって、そう思ったらもう、夢がなんだ、と呟かずにはいられない、そんな毎日を過ごしているわけで、右、左、と足が動いて、前に前に進んでるものの、それはなんでもないただの自宅への道で、でも私は帰る家が好きで、普通に狭い家だけど、壮大でもないですけど、高飛車になって良さを語れたりするわけで、だから、夢がなんだ、と呟いて、現実を愛する私の方が、夢を語るだけの奴よりは偉いな、とか思った後で、偉い奴にはなりたくない、とかまた考え直して、兎にも角にも、ただいまを言って、おかえりを言って、毎日を大事に重ねることが、私の夢だと思ったから、壮大な夢は眠りの中で、微かな夢だけ現実に、そう願う人がいたなら、握手をして、励ましあって、笑い合いたいと思ったのだけど、これは果たして微かな夢なのか、と言われれば、きっと人それぞれだな、と思って、だとしたら、壮大に高飛車に夢を語る彼らにとっては、その夢は微かである可能性もあるのかねって、考えて、ありゃわからんな、とキャパを超えたのを感じたので、思考を投げ出して、もう皆幸せになればいい、と、随分壮大な夢を呟いた。
『重い槍』
寂しがり屋の寂しさを紛らわす方法を否定なんてしてくれなくていい。
否定するなら代用をきちんと用意してほしいのです。
なにも出来ないなら、「やっぱそれは違うと思うな」とか、いらないのです。
寂しさに拍車をかけるだけの言葉なので、
そんなの、本当に、痛いので、
痛める作業など充分に自分で出来るので、
「タバコは身体に悪い」とか、
「親からもらった身体に」とか、
「将来のことを考えて」とか、
「君のことを思って」だとか、
もう、黙ってくださいませんか。
『私は人間だから』
周りが思ってるより、
いや、『周りが思ってる』と私が思ってるより、
私の中身っていのは、
ぐちゃぐちゃで、
どうしようもなくて、
みっともなくて、
やるせなくて、
でもそれが、誰でもない、私だという証明で、
愛おしいし、
愛おしいと思ってほしいし、
まぁ、でも、そんなの、隠したいし、
心臓を動かして、
血を巡らせて、
皮膚で覆って、
笑顔をつくって、
そうして君に愛を語り、
人間を営んでいく。
『ひとり』
寂しいか。
自分が独りだと思っているのか。
なにがそうさせた。
溢れかえる情報か。
だとすればそれはただの君以外のその他だ。
君があの時感じた熱に勝つものではない。
君が踏み出した一歩と比べるものではない。
君が今見てる景色を否定できる凶器ではない。
君はその他に潰されちゃいけない。
潰されて逃げたり消えたりしちゃいけない。
君はひとりでも独りじゃないからだ。
寂しいか。
ならばそれは、独りじゃないからだ。
『前に向かう私の詩』
未完成な私はそんな私を抱えて歩いていく。
憂鬱な夜の全てが憂鬱な朝へ続いている訳ではない。
ただ、ただ、明日が来ることに間違いはない。
なにもなくても大丈夫。
君がいなくても大丈夫。
私には、私がいる。
未完成な私がいる。
君の側には君はいますか。
余裕があるわけではないけど、余白を楽しみたいとは思ってる。
指さされたっていい。
現実、その指は見慣れた自分の指だって知ってるから。
なにが言いたいの、って質問、馬鹿げてる。
なにか言いたいんだよ。
そうだな、それでも、なんかって言うなら、一番に。
前を、前を、
前を向け、
私、君。
★タイトル『』の中にそれぞれ ★朗読時間:約1分~5分 ★ひとこと:
どこか病んでいるけど、それでも前は向いていたい。そうやって葛藤して、惨めにごたごた言ってもいいと思うんです。それが人間だと思うんです。少なくともそれが私です。
言葉は時に、会えなくても人を抱きしめることが出来る魔法だと思っています。
誰かの側に私の言葉が届きますように。
たまには、真面目なあとがきを。
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